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■日帝の戦争・改憲・治安弾圧強化粉砕
  強権支配に抗し、菅右翼反動政権打倒
               細野晴海





 八割を超える人民の反対を無視し、新型コロナ感染症第五波渦中での東京オリンピックが強行開催された。
 東京都内では開催期間中、「テロ対策」の名の下に、全国各地から機動隊が集結し警備体制を敷いている。迷彩服の自衛隊員を満載したトラックや装甲車などが徘徊し、自衛隊車両が東京都庁、競技会場周辺などに配備され、厳戒状態となっている。
 オリ・パラ関係者が移動するたびに、交通規制が行われ、あちこちで渋滞が発生し、労働者人民の日常生活を圧迫している。
 連日テレビでは、「がんばれ、ニッポン!」の絶叫が何度も繰り返し流され、「感動の押し売り」が再生産され続ける。コロナ禍で呻吟する労働者人民の怒りや不満の声は、まるで存在しないかのようにかき消される。
 われわれは、オリ・パラをも利用した、菅右翼反動政権の戦争・治安・改憲攻撃の悪辣な本質を今こそ全人民に暴き出していかなければならない。治安弾圧の強化を労働者階級の団結の力で打ち破れ! 人民の生命を軽視してコロナ失政を繰り返す菅右翼反動政権を打倒しよう!




●1章 緊急事態宣言下での東京オリ・パラ開催強行弾劾
▼1章―1節 菅政権延命のための東京オリ・パラ



 菅右翼反動政権は、新型コロナ感染症が世界的に蔓延する中で、人民の生命と健康を軽視する政策をとり続けてきた。昨年の「Go To(トラベル、イート)キャンペーン」の強行や、五月大型連休中の緊急事態宣言解除などによって、人の移動が大幅に増加したために、沖縄から北海道まで全国各地にコロナ感染が拡散した。
 その中でも最大のコロナ失政が、東京オリ・パラだ。菅政権は、一方では人々の移動制限を要請しつつ、他方では中止を求める圧倒的民意を無視し、人流増加が確実な東京オリ・パラ開催を強行した。菅は念仏のように「安全・安心」を唱えるだけで、根拠のある対策を取らなかった。
 菅政権はワクチン接種率増加のみを頼りに、地方自治体に圧力をかけ、自衛隊動員の集団接種で〝実績づくり〟を強引に進めた。だが、後に肝心のワクチン調達のメドがたたないことが発覚した(行政改革・ワクチン担当相河野は、二カ月もこの事実を隠蔽した!)。医療現場は急きょ接種態勢を拡充した矢先に接種停止へと追い込まれた。はしごを外された医療機関は、政府の場当たり的対応に振り回された挙句、予約キャンセルの連絡に追われた。集団免疫を獲得できるといわれる「人口七割のワクチン接種」の目標にはほど遠い。こうして、人民が懸念していた「緊急事態宣言下でのオリ・パラ」は現実のものとなった。
 七月中旬以降、東京都では新規感染者が一〇〇〇人台を超える日が続いた。首都圏三県(埼玉、千葉、神奈川)や関西圏、北海道、沖縄でも感染者が急増し、新型コロナ感染症拡大第五波への突入が鮮明となった。感染力が強力なデルタ株に入れ替わり、感染者の増加は、年末年始の第三波を上回る勢いだ。
 菅政権は、選手やコーチ・関係者を隔離し、外部の人との接触を遮断する「バブル方式」を導入し、「安心・安全」を強調したが、ルール違反が相次ぎ、「バブル」が、穴だらけだったことが明らかとなった。開催前から、選手村や資格認定証(アクレディテーション)を持つ国内外からのコロナ陽性者が次々に発生した。空港など「水際」での検疫対策は〝ザル状態〟だったのだ。
 ぎりぎりまで有観客にこだわり続けた日本政府とIOCだったが、コロナ感染症第五波到来の前に、ほとんどの競技が無観客開催となった。だが、無観客であっても、オリ・パラ開催によって人流の増加や、新たな変異株の流入により感染が急拡大する可能性は極めて高い。菅政権は東京オリ・パラを即刻中止し、まともなコロナ感染症対策を行うべきだ。
 菅政権の支持率は、「岩盤支持層」の30%を割り込むまでに落ち込んだ。当然の結果だ。だが菅は、東京オリ・パラを強引に開催してしまえば、すぐに世論は「がんばれニッポン!」の声で埋め尽くされ、反対の声を凌駕すると思っているのだ。そして日本人選手が金メダルを獲得すれば、政権への怒りが解消され、「国民統合」が進む。ワクチン接種が加速して収束すれば、政権支持率は回復すると踏んでいるのだ。だが、このような人民を見くびった菅政権、そして嘘と隠蔽、政治の私物化の挙句に逃亡した安倍の醜態を労働者人民は忘れてはいない。
 緊急事態宣言下のオリ・パラを強行した菅政権に対する人民の怒りの声が渦巻いている。もはや労働者人民は、政府のいうことなど信じないし、指示にも従わなくなっている。



1章―2節 安倍の犯罪的大嘘で招致の東京オリ・パラ



 東京オリ・パラの招致決定(一三年)は、安倍晋三の犯罪的大嘘と、IOCへの数億円といわれる裏金工作で獲得したものだ。安倍が招致の際のプレゼンテーションで言った最大の嘘は、福島第一原発の「アンダーコントロール」発言だ。安倍は、二〇一一年の3・11東日本大震災、福島第一原発事故が制御下にあり、すでに収束したと印象操作した。さらに東京オリ・パラを、震災と原発事故からの「復興五輪」と位置付けて、東京招致を獲得した。
 だが、現実はどうか。一〇年が経過した現在でも、原子力緊急事態宣言は発令中のままだ。高濃度の汚染水は増え続け、あと数年で貯蔵タンクが満杯となる。政府はこの汚染水を希釈して海洋に放出しようとしている。福島第一原発の核燃料デブリを取り除くことはできず、解体作業の見通しはたっていない。
 しかも安倍が招致の際に主張した「復興五輪」は、その後、「人類がコロナに打ち勝った証」へ、さらに「コロナで分断された人々の絆の回復」へと、ご都合主義的にすりかえられたのだ。
 東京オリ・パラ招致決定によって、被災地復興より、五輪関連の建築や再開発が優先された。資材が高騰し、労働力の多くが東京へと吸収されたため、被災地復興の遅れを引き起こした。被災地では、放射能汚染地域への帰還強制や自主避難者への住宅無償援助打ち切りなど、棄民化政策が進んでいる。大嘘で東京オリ・パラを招致した安倍を絶対に許してはならない。
 さらに安倍は、招致の段階でオリンピック開催期間を「温暖で選手のパフォーマンスを発揮しやすい季節」などという嘘もついた。東京の七月中下旬は、気温が連日三〇度を超える過酷なものだ。地球温暖化の影響により、地域・条件によって四〇度近くに達する日も珍しくはない。熱中症注意警報が連日くり返し出され、外出自粛が呼びかけられている。これのどこが「温暖で選手のパフォーマンスを発揮しやすい季節」だというのか。たとえコロナ禍がなかったとしても、真夏の東京オリ・パラ開催は、選手のみならず、観戦者にも熱中症による死の危険が現実のものとしてある。このことからも、嘘で塗り固め、東京オリ・パラを招致した安倍の功罪は明らかだ。




●2章 安倍―菅政権による戦争・治安・改憲攻撃の激化
▼2章―1節 「アベ政治」の破産と、それを引き継いだ菅政権


 安倍独裁政権は、国会議員の数の力によって、外交・安保の司令塔=国家安全保障会議(NSC)設置と、秘密保護法制定(一三年)を強行した。一五年には戦争法制定、一七年には、共謀罪新設(=組織的犯罪処罰法改悪)を強行した。さらに、一九年の天皇「代替わり」儀式の国家行事としての挙行と、東京オリ・パラ開催による「国民統合」を推し進め、総仕上げとしての二〇年改憲を目指した。
 安倍は、「お友達政治」と称される、森友・加計疑獄などの、自らの取り巻きへの利益配分や、「桜を見る会」利用の公職選挙法違反など、政治の私物化を繰り返した。その証拠を隠滅するため、国会での一一八回に及ぶ虚偽答弁、公文書の改竄、文書破棄を行った。自らに捜査が及ぶのを回避するため、東京高検検事長黒川の定年延長―検察庁法改悪を強行しようとした。人民の怒りの爆発によって撤回したが、安倍は、数々の疑獄事件への説明責任を果たすことなく、首相の座に居座り続けた。
 だが、コロナパンデミックによって状況は激変した。「危機管理」や「有事」対応への強さを標榜し、官邸への権力集中と、中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国敵視の排外主義外交、それと一体の戦争体制構築を全面化させてきた安倍政権だが、コロナ禍という現実の「有事」にはまったくの無為無策だということが全人民の前にさらけ出された。
 安倍は自らの政治的延命のために、首相任期期間中の東京オリ・パラ開催にこだわりつづけ、まともな感染症対策をとらなかったため、国内感染は急拡大した。コロナ禍は「アベ政治」による人災であることは明白だ。
 コロナ禍で安倍がやったことは、「アベノマスク」の二枚配布と、一〇万円の給付金支給だけだ。その給付金すらも、人民の怒りの前にしぶしぶ出したものだ。安倍は、コロナ感染症の世界的な感染爆発=パンデミックによって、東京オリ・パラの一年延期へと追い込まれた。
 場当たり的なコロナ感染症対策に終始し、政権支持率が下がり続けた安倍は、昨年夏に人民の怒りの噴出に恐怖し、「持病悪化」を理由に突如政権を放り出して逃亡した。七年八カ月の歴代政権最長記録のみを〝レガシー〟に、安倍政権は終焉した。
 その後、「アベ政治」継承を宣言した菅は、「国民のために働く内閣」を標榜し、「デジタル化」や「携帯電話料金値下げ」を看板に登場した。ブルジョア・マスコミは、政治家世襲の二世・三世出身ではない菅を、「苦労人」「庶民派」などと最大限に持ち上げたが、マスコミの印象操作で造られた高支持率は、その反動的本質が明らかとなり、すぐに急落した。


▼2章―2節 日本学術会議任命拒否 菅政権の思想統制許すな


 菅政権の組閣直後、日本学術会議が提出した推薦人名簿一〇五名のうち、六名を除外する暴挙が発覚した。任命拒否された六名は、共謀罪や戦争法制など、安倍政権の強行した反動法案に反対の意思表示をした研究者だった。菅は除外の理由を国会の場で一切説明せず、「総合的・俯瞰的観点での判断」という決まり文句を繰り返すことに終始した。
 この学術会議任命拒否は、警察庁警備公安出身の杉田和博の主導で行われたものだ。杉田は内閣人事局長も兼務しており、これまでも各省庁の官僚の個人情報収集、分析を主な仕事としてきた。菅政権は、政府に批判的な意見を持つ研究者の排除と、さらには軍事研究拒否の姿勢を堅持する学術会議の屈服を狙ったのだ。
 この問題発覚により、学者各人の研究内容や発言内容、思想・信条や交友関係などすべてを情報収集し、批判的な学者は排除という、菅義偉の陰湿で強権的な政治手法が浮き彫りとなった。これまでも菅は、自らの意に沿わない官僚を排除しながら権力中枢へとのし上がってきた。警察官僚杉田を使った個人情報の収集、批判的意見の封殺は、戦前の内務省警保局―特高警察の思想統制そのものだ。
 菅政権は、首相官邸への強大な権力集中を利用して、戦前特高警察型の人民監視・思想統制へと踏み込んだのだ。


▼2章―3節 菅の改憲攻撃―国民投票法改悪弾劾



 日本会議・神政連など改憲勢力は、コロナ禍のどさくさにまぎれ、「不要不急の」改憲攻勢を強めている。
 自民党憲法改正推進本部は、昨年逃亡した安倍晋三を最高顧問に据えて、コロナ禍をも口実にしながら、自衛隊明記、緊急事態条項新設の憲法改悪を強行しようとしている。
 菅は五月三日、自民党総裁として改憲派集会へのビデオメッセージを送り、「現行憲法も制定から七〇年余り経過し、時代にそぐわない部分、不足している部分は改正していくべきではないか」と語り、決意表明をした。
 自民党が掲げる「自衛隊明記」「緊急事態条項創設」「参院選の合区解消」「教育無償化」の「改憲四項目」について、菅は「自民党は、憲法審査会で活発に議論を行っていただくため、憲法改正のたたき台を取りまとめている」と強調した。
 安倍と菅政権による改憲攻撃を絶対に阻止しなければならない。


▼2章―4節 現代の「要塞地帯法」=重要土地規制法廃止!

 菅政権は五月二八日、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(重要土地規制法案)の衆院内閣委員会採決を強行した。
 重要土地規制法は、対象となる「重要施設」の周囲約一〇〇〇メートルの区域の土地・建物について、所有者、利用者、関係者の利用状況を調査し、基地等の機能を阻害する〝おそれがある〟行為を規制、処罰するというものだ。総理大臣が重要施設や国境離島等の「機能を阻害するおそれ」があると認めれば、政府が「注視区域」に指定した土地の利用者に対して、利用中止勧告や命令をすることができ、従わなければ罰せられる(二年以下の懲役もしくは二〇〇万円以下の罰金)。特に重要とされる施設周辺は「特別注視区域」に指定し、調査に加え、一定面積以上の土地や建物の売買には事前届出を義務づける。これに従わなければ罰則を伴う命令を出すという、私権制限の極反動治安立法だ。
 「注視区域」の指定は、政府と、その実施機関である公安警察、自衛隊の情報保全隊や警務隊などの恣意的判断によって、自衛隊や米軍基地、海上保安庁施設、国境離島や島そのもの、原発、空港などへと無制限に拡大できるのだ。
 法案の触れ込みは、「外国資本による国境離島や基地周辺の土地買い占めへの対処」であったが、そもそも、そのような立法事実は存在しない。また法文上にも、「買い占め対処」に限られるとは書かれていない。同法のターゲットは、辺野古新基地建設阻止闘争をはじめとした、自衛隊や米軍基地に反対する運動を監視し、規制することにあることは明白だ。
 重要土地規制法は、大日本帝国憲法下での「要塞地帯法」の再来だ。要塞地帯法は、軍事施設=要塞地帯を指定し、立ち入り等を禁止した法律だ。要塞地帯では、水陸の形状、施設物の状況について、写真撮影、模写(スケッチ)を禁止し、要塞地帯内で兵備の状況や地形を視察する者と認めたときは退去させることができる。これに違反した者は、二年以下の懲役又は二〇〇〇円以下の罰金が科されるというものだ。しかし、要塞地帯法には「軍事施設」という一定の限定性が存在するが、「重要土地規制法」には何が「重要施設」なのかの規定に限定がなく、いくらでも対象指定が可能となる。その意味では、要塞地帯法以上の超反動治安立法なのだ。
 沖縄をはじめ、全国の軍事基地は、もともと住民が居住していた場所や農業、漁業を営んでいた場所に、戦前は大日本帝国陸・海軍が、戦後は米軍(銃剣とブルドーザーによって)や自衛隊が問答無用に土地を接収して建設したものだ。原発や空港もまた、金の力で農漁民から土地を奪い取り、抵抗する住民からは、機動隊の暴力によって取り上げたものだ。
 住民の生活を根こそぎ破壊し、後から建設した「重要施設」なるもので、地域住民を規制・処罰することなど絶対に許すことはできない。
 反基地住民運動つぶしを狙った重要土地規制法を廃止しよう。軍事優先、治安弾圧体制強化の菅政権を許すな。


▼2章―5節 デジタル庁関連法案成立強行弾劾


 強行成立したデジタル改革関連法は、行政のデジタル化推進の司令塔として、システム整備や総合調整を行う「デジタル庁」を九月一日に創設することを柱としている。他にも、①デジタル社会の理念を定めた「デジタル社会形成基本法」、②行政手続きでの全面的な押印廃止に必要な改正法、③マイナンバーと預貯金口座の紐づけを促進する法、④個人情報保護法改悪など合計六三の法案が、拙速審議によって強行採決された。

 「デジタル庁創設」、「デジタル化関連法案」は、菅政権発足時からの最重要法案であり、「看板政策」として位置付けられていた。菅政権の強行する「デジタル化」とは、人民の「利便性」や「行政簡素化」を隠れ蓑にした、人民監視体制の飛躍的強化であるとともに、労働者階級人民へのより効率的な搾取・収奪強化の攻撃だ。
 「デジタル基本法」では、国や企業による「データの利活用」が強調され、行政サービスの効率化、利便性向上を謳っているが、実際には個人情報の目的外利用や、本人同意なしの収集・集積、それらを「ビッグデータ」として活用しようとするものだ。
 基本法案には、個人情報取り扱いの自己決定権=「自己情報コントロール権」についての保護理念は一切なく、集積された情報は、政府と資本に無制限に利活用されることになる。
 九月一日発足のデジタル庁は、これまでの地方自治体の情報システム(J-LIS)を、全て「Gov-Cloud」へと参入させて一元的に管理統制し、各省庁と共通仕様化する。さらには、マイナンバーによって、健康・税金・金融・運転免許・前科前歴など、ありとあらゆる個人情報が紐づけされる。収集された個人情報は、内閣官房の内閣情報調査室を通して、警察庁や各都道府県警へと情報共有されることになるのだ。
 菅政権が「デジタル化」で狙うものは、アメリカや中国のような超監視社会(スマートシティ/スーパーシティ)を作り上げることにある。二〇一三年、アメリカ国家安全保障局(NSA)元職員のエドワード・スノーデンは、アメリカ政府が、グーグル、フェイスブック、ヤフーなどのデジタルプラットフォーマーの協力を得て、世界中の個人情報を大量無差別収集していることを暴露した。
 国家による監視と、資本による監視が最も結びついているのが中国だ。中国政府と、中国のデジタルプラットフォーマーであるBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)に集められた膨大なデータは、人工知能(AI)によって分析され、国民監視や統治に活用されてきた。ウイグル族弾圧や民主化運動活動家拘束にも、顔認証技術を含めた最新のデジタル技術が用いられた。アリババ集団の本拠地の杭州市では、街中に大量の監視カメラが設置され、当局は顔認証で個人を識別し、その個人データを即座に参照することができる。
 日本を米中のような超監視社会にするためには、デジタルインフラ(IoT、AI、5G※)の整備が必須条件となる。菅の「デジタル化」、「携帯電話値下げ」とは、スマホを必須ツールとした、超監視社会づくりのために進められようとしているのだ。
※IoT=Internet of Things(モノのインターネット)=モノがインターネット経由で通信すること。 AI=Artificial Intelligence=人工知能、5G=5th Generation Mobile Communication System=第五世代移動通信システム


▼2章―6節 コロナ禍で強まる菅政権の強権発動許すな


 七月初旬、経済再生相西村は、休業要請に応じない飲食店に対して、金融機関への融資停止の「働きかけ」を行うこと、また、酒類販売業者に対しては、飲食店との取引停止「要請」を求める方針を打ち出した。業界団体や、金融機関の優越的地位を利用した飲食店への休業徹底圧力に対して、「われわれに自粛警察をやれというのか」という関係業者などからの猛反発が殺到し、撤回へと追い込まれた。
 西村は、「可能な範囲で感染拡大防止に対するご協力をお願いする趣旨」などと釈明したが、政府中枢からの「働きかけ」や「お願い」は、業界団体などにとっては、事実上の「強制圧力」でしかありえない。
 政府は「西村の勇み足」として、西村個人に責任を押し付け、火消しに躍起となっているが、金融機関への働きかけは、首相菅や官房長官加藤ら五閣僚が出席した閣僚会議(七月七日)で共有されていたことであり、政権の共通認識であることは疑いない。
 コロナ特措法や、緊急事態宣言の基本的対処方針のどこにも「金融機関への融資停止の働きかけ」や、「酒類販売業者に飲食店との取引停止」を求めることができるなどと記載されていない。西村の「要請」は、法的根拠のない、政府の「恫喝」そのものだ。
 そもそも、科学的根拠を示さず、飲食店をコロナ感染拡大の原因であると決めつけ、――以前はパチンコ店がターゲットにされ、「自粛警察」が横行した。しかしパチンコ店でのクラスター発生の事実は無い!――まともな休業補償もせず、「食うため、生きるため」にやむなく開業せざるを得ない状況に追い込んだのは、安倍―菅政権のコロナ対策失敗のせいではないか! その責任を棚に上げて、人民を相互監視・密告させ、言うことを聞かない者は「恫喝」によって廃業に追い込むという強権的手法の横行こそが、菅政権の本質であることが改めて明確となった。菅政権は即刻退陣せよ。



●3章 治安弾圧―闘う労働運動つぶしと対決せよ


 菅右翼反動政権は、安倍の改憲・戦争国家化を引き継ぎ、コロナ禍を利用して、治安弾圧の飛躍的強化を推し進めている。

 とりわけ、コロナ失政で労働者階級人民の菅政権への怒りが充満するなか、階級闘争の高揚を抑え込むために、労働者階級の団結体=闘う労働組合つぶしの攻撃を強めてきている。
 二〇一八年から、全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)に対して、のべ八九名逮捕、七〇名起訴の大弾圧が強行された。
 組合員の子どもの保育園通園のため、就労証明書の不交付に抗議したことが「強要未遂」、現場での違法行為を指摘し、是正要求する「コンプライアンス活動」を「脅迫」、ストライキを「威力業務妨害」などと、どれもが労働三権で保障されている、当たり前の労働組合活動を「犯罪」に仕立て上げた不当な弾圧だ。
 七月一三日、武健一組合委員長に対し、懲役三年、執行猶予五年の反動判決が下った。全国に広がった支援連帯の闘いによって、検察による「八年求刑」の実刑判決は阻止された。
 関生支部弾圧の特徴は、組合の解体を目的としたネオナチを信奉する極右排外主義勢力、右派マスコミ、警察権力が一体となった、組織壊滅型弾圧だということだ。
 関生支部の闘いを潰すために、「大阪広域生コンクリート協同組合」が、極右排外主義勢力を雇い入れて、関生支部を「反社会的集団」とレッテル張りし、敵対を繰り返す。警察権力はこれと連動して、関生支部の当たり前の組合活動を「犯罪」に仕立て上げ、でっち上げ大量弾圧する。弾圧には、公安部だけでなく、組織犯罪対策部をも動員して、関生支部=「反社会的集団」とする悪辣な印象操作を行った。逮捕した組合員に対しては、取り調べで、組合からの脱退強要(転向強要)が行われた。
 この間、関生支部弾圧と同様に、当たり前の労働組合活動に対する警察権力の弾圧が全国で強まっている。組合による団体交渉要求の申し入れ活動を「不退去罪」や「建造物侵入」に仕立て上げた不当な家宅捜索が強行されている。
 五月一〇日には、話し合いを求める韓国サンケン労組支援を闘う仲間が、会社側ガードマンを使った「暴行」「威力業務妨害」でっち上げによって不当逮捕・起訴(五月三〇日)された。
 階級的労働運動に対して、日帝―菅政権の組合つぶしの本格的な弾圧が進行している。菅政権の目指すものは、さらなる新自由主義政策と、デジタル化=超監視社会への道だ。この段階を画した治安弾圧攻撃の激化に対して、立ち向かうのか、屈服していくのかが日本労働者階級人民に鋭く問われている。
 治安弾圧激化に怯むことなく、闘う仲間の団結を強化・拡大し、不当弾圧を断固としてはね返していこう。不当弾圧には完全黙秘―非転向で闘う以外に勝利の道はない。











 


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